我が国の教育評価は、子ども達を値踏みする道具であり、質の高い教育や学力を保障するための十分な役割を果たしてこなかった。また、子ども達の学習成果を適切に評価するための評価方法や評価手続きは十分でなかった、と指摘されてきた。このような指摘がみられる中、近年では、教育のアカウンタビリティの観点から教育評 価が検討されたり、指導と評価の一体化の重要性が主張されたりするようになってきた。 さて、体育科教育学における教育評価は、どのように考えられ、どのような評価方法や評価手続きが主張されてきたのであろうか。例えば、学習成果を評価する方法は、多くの場合量的な方法が適用されてきたが、近年では、ルーブリック評価やポートフォリオ評価等、質的な方法が提案されるようになってきた。この変化は、体育 科教育学における教育評価の中心的関心等に変化が起こったために現れてきたのではないかと推察される。 本研究では、我が国の体育科教育学における教育評価の中心的関心や評価方法はどのようであったか等について、戦後出版された体育科教育学に関するテキストを対象にして明らかにする。