5. ド・ロ神⽗の建築̶中世主義的意匠の導⼊過程について̶ (16:50—18:00)
⼩倉康之(⽟川⼤学)
博学多才で知られるド・ロ神⽗は、建築の分野においても多くの優れた功績
を残した。⼤浦天主堂の拡張⼯事に関わった可能性が指摘されているほか、旧
羅典神学校、旧⻑崎⼤司教館などの建築が⼤浦に現存している。また、外海地
区には、出津教会堂、⼤野教会堂、旧出津救助院、旧鰯網⼯場などがある。建
築技術の⾯でも「ド・ロ壁」など、特筆すべき点が多い。堅牢性とデザイン性
を両⽴させたド・ロ神⽗の建築思想と技術は、その弟⼦である鉄川与助にも引
き継がれ、⻑崎の教会建築に多⼤な影響を与えた。本発表ではド・ロ神⽗の建
築に関する業績を概観し、「単塔式ファサード」に注⽬しながら中世主義的意
匠の導⼊過程について考察する。