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本研究では、同性婚を社会的イノベーションと捉え、E.M.ロジャーのイノベーション普及理論(1990)を用いて、観光における日本の現状を分析する。新しい価値観や発想に基づく観光スタイルの創出・導入には、複雑性・試行可能性・観察可能性が重要である。同性婚に関連する観光商品は、その点ではまだ課題があるものの、新たな消費者層を開拓する上で有用であり、LGBTツーリズムの国内普及過程における入口として機能することが本研究から示された。また、アクター分析により、「イノベーター」と「アーリーアダプター」の重要な役割が明らかになった。"イノベーター "と "アーリーアダプター" さらに、他の役割を担うアクターとの価値共創がLGBTツーリズムの普及・浸透を加速させることから、ツーリズムに関わるアクターを増やすことの重要性が確認された。しかし、LGBT消費者の滞在中の「快適さ」は十分に保証されるものではない。制度や商品を揃え、アレンジするだけでは不十分だ。日本は今、LGBTフレンドリーな観光を心身ともに受け入れられる柔軟な社会への転換が求められている。観光関係者は、同性婚のデスティネーションとしての日本の地位を向上させるために、多面的なイノベーションを取り入れなければならない。様々な入口や接点が増えることで、その理解と普及をさらに加速させることが不可欠となる。それがLGBTツーリズムの日本社会への浸透につながる。 |