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本論文は、フランス/スイスの映画監督ジャン=リュック・ゴダー ル(Jean-Luc Godard, 1930-)の 1970 年代から 1998 年までの作品のなかから《ヒア&ゼア・こ ことよそ》(1976),《ヌーヴェルヴァーグ》(1990),《映画史 第二章》(1998)の三作品を分析する ことを通し,これら作品傾向の異なる三作品に通底するゴダールの手法の共通点,すなわち映画 を構成するコンテクストの形成手法について考察したものである。作品分析の方法論として,申請者は平倉圭の著書『ゴダール的方法』(2013)で用いられた分析 法を踏まえながら,さらに音楽における楽曲分析と同様の方法,つまり音と映像を作品のシークエンスを構成する諸要素として捉え,それらの連結・接合の様態を明らかにするという方法を採 用した。より現象的・実践的なレベルでモンタージュ技法に焦点を当てることを可能とするこう した方法論を用いることで、「形態的類似による連結」 や「イメージの並置によるコンテクストの形成」というゴダール独自の映画編集の特徴を取り出した。 |