本研究は、発話行為を発声からのみ校正されている行為とみなすのではなく、言語と「自発的ジェスチャー(Kendon, 1986, 2004; McNeill, 1987, 2005)」の分別することのできないまとまりとしてとらえ、喃語発する以前の前言語的発生をおこなっている乳幼児の発話行為における自発的ジェスチャーの有無、また、その形態や運動的特徴、機能について探索的検討をおこなう。また、もし発話行為が「言語と自発的ジェスチャーの分別することのできないまとまり」として成立しているのであれば、言語の変化(発達)に伴って自発的ジェスチャーも変化してくのではないか。また、自発的ジェスチャーの起源は視覚的経験に依存しない(Iverson& Goldin-Meadow,1998; 佐藤・渋谷・佐々木、2010)ことから、その変化は視覚以外のモダリティの影響の可能性がある、という仮説を基にしながら検討をおこなう。