私たちが絵画を観る時,そこに描かれた“面としての配置のもつ不変項”と同時に“画像の面そのものとしての不変項”を観る(Gibson, 1979).時間芸術である演劇において,観客は俳優の身体に二つの面を知覚しているのではないか。俳優の技術とは“自身の身体”と“演じている役柄としての身体”の二重性を引き受け,その二重性を自覚的に操れることなのではないか。本発表では,具体的な創作の現場を対象に上記の理論的背景および仮説の検証を試みる。