本発表では、CSのオーソライザーに対する地方教育行政による管理統制の仕組みと実態の一端を明らかにすることを通して、公教育体制再構築の可能性と課題を検討することを目的とした。
MAPESが制度化されたことで学区教委も含めて、多くのオーソライザーがCSの管理運営の継続を断念した。その結果、米国のトレンドとは異なり、ミネソタ州では、学区教委が管理運営しているCSはわずか2.8%であり(5/181校)、学区教委以外の組織がCSを管理運営しているのが一般的になっている。学区教委が公立学校を管理運営する体制が米国の伝統的な公教育体制だとすれば、ミネソタ州のそれは、公教育体制再構築を実現しつつあると言える。そしてミネソタ州におけるCSによる新たな公教育体制は、CSの市場化・民営化というより、地方教育行政機関であるMDEがMAPESを通じた「品質管理機関へのアカウンタビリティ」をオーソライザーに課し、オーソライザーの質保障を通して、結果としてCSの質保障をも達成しようとする試みであると解することができる。本発表で示したMEPESレポートの評価内容とその評価内容を受けて修正したB大学のAAPの内容について言及したように、MDEによるオーソライザーへの管理統制は、AAPの内容を確認する限り、機能しているように思われる。