教育実習科目を履修する学生に対し,指導案改善を目的として,マンガ表現による授業シミュレーションを行った.そこでの指導案の改善過程を,インタビューの発話に対し,修正版グラウンデット・セオリー・アプローチ(M-GTA)による分析によって明らかにした.その結果,マンガ作成時とマンガ振り返り時には,それぞれ異なった気づきとそれに対応する指導案の改善が存在した.特に,自ら作成したマンガを振り返る活動は,マンガ内の授業を俯瞰的に捉えると共に,それまで教師中心に構成していた授業展開を見直し,指導案の改善のために生徒の声を取り入れようとしている.一方で,マンガの作成は,教師だけでなく複数の生徒の自由な声が存在することから,指導案を改善するための基礎となる活動である.つまり,教育実習生が指導案を自ら改善するには,マンガ表現による授業シミュレーションに加え,その振り返りが不可欠といえる.