チャット体験を基にしたネットコミュニケーションにかかわる情報モラル学習を実践した.実験群の児童はチャット体験におけるネットコミュニケーションの特徴に関する気付きを共有し,留意点を話し合い,授業終了時に学習のまとめとして再度チャットを行った.統制群の児童はチャット体験を行わず,実験群のチャットのログを読んだ気付きを基に同様の授業を行った.統制群の児童は,ネットコミュニケーションの長所に関する気付きが少なくなる傾向が見られたが,留意点は実験群より多く考えることができた.しかし,学習のまとめのチャット・遅延テストでは,実験群の方が,統制群よりも望ましい発話が多く,問題のある発話が少なかった.統制群は留意点を多く考えることができたが,それを実際のネットコミュニケーションの場面で生かすことができないことから,実体験を基にした学習活動の有効性が示唆された.