理科実験では学習が停滞することがある.停滞状況の打開の一つに模倣がある.本研究では,小学校5年理科「もののとけかた」の実験において同期型CSCLシステムを導入し,学習者の模倣の実態を分析した.学習者は同期型CSCLシステムを通して模倣を行うことにより,停滞状況を打開していた.同期型CSCLシステムを利用した模倣は,単に形をまねる模倣ではなく,観察した内容を自分たち独自の方法で調整しながら追究に生かすというより高次の模倣が行われやすいことが明らかとなった.これは,他の実験班の実験の様子を即時的に認識できることと,追究の記録の中から模倣しようとする情報を容易に閲覧できることが要因であると考察できる.