本研究では,第一に,体育学習において教師の考える技能(本論では「体育技能」と呼ぶ。)から評価基準を作成した。第二に作成した評価基準を用い,学習者同士の相互作用を重視した活動が行われた授業における体育技能の向上を測定した。第三に,教師の手だておよび学習者の会話の特徴から,体育技能向上に関連する相互作用の実態を質的に分析した。その結果,体育教師は,小学校6年生のバスケットボールの学習では,4分のゲーム内で,総シュート数が20回あれば高い達成度と考えている。攻撃に有効な縦パスが30回以上あれば,高い達成度と考えていることがわかった。また,相互作用を重視した学習を行ったところ,体育技能の向上が見られた。教師の主な手だてである情報掲示板の設置は,相互作用を促し,体育技能の向上に効果的である。「体育技能」向上に関係している会話は,「アドバイス・励ましの会話」,「目標確認の会話」に整理できた。そこでは学習者どうしが学習状況を共有するこ