本研究では,宇奈月温泉の観光について,統計データの分析と観光客へのアンケート調査結果,そして,現地の黒部・宇奈月温泉観光局への聞き取り調査の結果をもとに考察した。
2015年3月の北陸新幹線開業により,宇奈月温泉エリアは首都圏との安定したネットワークを構築したが,依然として冬場の閑散期の課題は続いており,宇奈月温泉における観光客の動きそのものは,北陸新幹線の開業前と同様に,富山県内観光客,北陸,信越の近隣からの観光客が支えていることがわかった。また,アンケート結果からは,宇奈月温泉エリアのまちなかを散策したり,食事をしたり,食べ歩きをしたりと,現地で消費を喚起するコンテンツの弱さが浮き彫りとなり,滞在時間を延ばし,消費を促し,宿泊につなげていくための温泉地としての魅力創造・再構築が課題といえる。
そこで本稿では,こうした課題を解決するための取り組みとして,①黒部川電源開発によって生まれた宇奈月温泉,黒部峡谷鉄道の歴史的つながりに重きを置いた観光ストーリーの再構築,②温泉街の空間を有効活用して,マルシェやフリーマーケット,チャレンジショップなどの賑わいの創出,③冬場の閑散期対策として,宇奈月スノーパークの魅力アップ,宇奈月の冬の生活を体験する商品造成,などについての提案を行った。