全国各地域に残る寺社、武家屋敷、宿場町、城下町、門前町など、地域の歴史・文化を感じることのできる建造物やまち並みは、これまでも重要な観光資源として保存・活用されてきた。そして近年、こうした歴史的建造物に限らず、空き家や古民家といった地域の遊休資産をリノベーションして、ゲストハウスなどの宿泊施設やレストラン、カフェなどに活用する動きが、全国で活発になってきている。地方創生の切り札として注目される観光の振興、そして、急増する訪日外国人旅行者をはじめ、多様化する観光ニーズなどを背景に、日本的なまち並みそのものが観光地の魅力となり、政府による政策や制度面からもこうした動きをサポートする仕組みが整備されている。
本稿では、こうした動きが生まれた背景、そして、空き家や古民家を活用した観光まちづくりについて解説した。