日本の文化政策における観光とのつながり,関わりが増してきている。地域の文化財は保護から活用へと政策の転換が進み,観光資源としての魅力創造へと意識の変化が生まれている。そして,文化・芸術の振興がもたらす,地域の観光やまちづくり,国際交流,福祉,教育,産業等の分野への波及効果にも期待が向けられている。
こうした中、2020 年5月,地域の博物館や美術館などの施設を核にした新たな文化・観光の振興策として,「文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律」(文化観光推進法)が施行された。そこで本稿では,文化と観光との政策におけるつながりと,この法律の概要について整理した。