新型コロナウイルス感染症(以下、「コロナ」という)の拡大に伴い、人の移動・交流が抑制され、経済社会活動に大きな影響が及ぼされた。その一方で、業種別ガイドラインの作成やテレワーク、ワーケーションなど、ニューノーマル時代の経済社会活動も進められている。
中でも映像を通じたエンターテイメントは、巣篭もり需要の拡大に大きく貢献した。NPO法人ジャパン・フィルムコミッション(以下、「JFC」という)の調査では2020年11月現在、日本国内で映画やテレビなどのロケーション撮影への支援を行う組織(以下、「ロケ支援組織」という)が全国359団体と、2018年調査から54団体増加するなど、ロケ支援組織の取り組みが全国に広がっている。
そこで、地域におけるロケ撮影の支援は、コロナ禍であっても地域間の人の移動・交流をはじめ地域経済の活性化、地域プロモーションやアフターコロナの観光振興につながる、効果的な取り組みになっているのではないかと考えた。
本研究では、全国のロケ誘致の取り組みに関する実情や課題を把握するため、JFCや一般社団法人ロケツーリズム協議会への聞き取り調査を行った。そして、東京都調布市・狛江市、茨城県、富山県、福岡県北九州市のロケ支援組織への聞き取り調査をもとに、コロナ禍におけるロケ撮影の受入状況、それに伴う効果、今後の課題などについて整理し、コロナ禍でロケ支援組織が地域にもたらす影響について考察する。