今日、「演劇」は「演劇教育」として教育の手段の一つと考えられている。平成22(2010)年5月に文部科学省が「コミュニケーション教育推進会議」を設置し、コミュニケーション能力育成に演劇を用いた学習プログラムの開発を行うなど、「演劇」の能力習得効果に着目が見られる。学校教育と「演劇」が密接な関係を築いたのは、学校教育に「演劇」を導入し、「日本の教育に清冽な風を送りこんだ」(北島1977: 13)小原の「学校劇」が原点であるとされている。従って、本研究は「学校劇」に立ち返り、小原における学校劇論の思想を今一度精査することで教育的意義を明らかにするものである。