【目的】5-アミノレブリン酸(ALA)はヘムやクロロフィルの前駆体となるアミノ酸で、摂取することで様々な機能性が報告されている。筆者は過去にもろみから得た清酒酵母中に高濃度のALAが含まれていることを報告している。この度は上槽末期の酵母内容物の漏出がどの程度ALA濃度に影響するかを検証するため、上槽中の清酒を採取しALA濃度を測定した。また活性炭処理がALA濃度に与える影響を評価した。
【方法】清酒製造場5社の協力のもと2023年12月~2024年5月にかけて上槽された清酒試料を収集した。連続自動圧搾機による上槽4件及び槽による上槽2件の上槽中に、上槽開始直後、中期、末期(それぞれ荒走り、中だれ、責め)の画分を採取した。
【結果】上槽中に採取した清酒試料では6件中2件で責めの画分でALA濃度及びOD260に顕著な上昇がみられた。。一方で槽による上槽2件を含む4件の上槽では荒走りから責めにかけて、ALA濃度、及びOD260に顕著な差は見られなかった。また活性炭処理の結果、いずれの活性炭濃度においてもALA濃度は大きく変化しなかった。
以上より、上槽末期の責め画分では酵母内容物の漏出に起因するALA濃度の増加が期待できるが、上槽条件やもろみの状態によっては、これが期待できないものと考えられた。また、責め画分の活性炭処理によりALA濃度の高い清酒製品が開発できる可能性が示唆された。