本研究は体育実技(陸上・走幅跳)の記録が授業前後でICT(スマートフォン)を活用することで向上するのかを明らかにする目的で行われた。教職必修科目「体育実技(陸上)」受講者においてスマートフォンのカメラ機能を使用しなかった2011年~2013年の3カ年(男子82名、女子44名、計127名)とスマートフォンのカメラ機能を使用した2014年~2016年の3カ年の受講学生(男子72名、女子70名、計142名)の授業前後の走幅跳の記録を比較することで以下のことが明らかとなった。
1)スマートフォン活用の有無にかかわらず、5回の授業によって多くの学生は記録を向上させることが出来る。
2)スマートフォン活用の有無にかかわらず、初回記録の上位グループは記録を向上させることは難しく、下位グループは記録を向上させることが出来る。
3) 男子学生はスマートフォンを活用することによって、活用しない学生よりも有意な記録の向上は認められなかった。
4)女子学生はスマートフォンを活用することによって、活用しない学生よりも初回の実測記録が350cm-399cmのグループにおいて記録が有意に向上する。