キャリア教育についての理解を深めるため、キャリア教育に関連する歴史的背景や中央教育審議会答申の動向などを踏まえ用語と定義の整理を試みた。キャリア教育で育てたい力の中心は基礎的・汎用的能力を確実に育成することであるが、社会人や職業人として必要な基礎的な能力や自分の生き方を開拓し創造していく力(自己冒険力)が必要であると考える。これらの力を身に付けるためには、社会や職業との関連した実践的・体験的な活動を充実させる必要があり、キャリア発達や体験学習を意識し、幼児期から高等教育までを体系的に進めなければならない。その過程において事前指導を充実させることは事後指導の充実につながり、その結果、職業観・勤労観の深まりにつながると考える。
職業観・勤労観の研究は、高校生・大学生が研究対象として多数であり、教科・教科外でのキャリア教育の導入やキャリア教育の動向の研究が多いことがわかった。職業観と勤労観は教え込むものではなく、各自が日々の生活や様々な体験などを通し自分なりに望ましい方向へ形成・確立していくものであり、自己冒険力はその一助となると考える。教師は、児童生徒の人生資源が豊富になり、豊かな人生や生き方が送れるように学校生活や生涯を見通したキャリア教育の実践が求められている。