富士山などの比較的若い火山では,森林限界以上に火山荒原と呼ばれる地域が広がる.火山荒原はその厳しい環境のため,植生の発達が遅く,遷移が滞っている.そのような環境下では,厳しい環境にも耐えうる植物の侵入が重要な要素となる.遷移初期段階に侵入できる植物がもつ“定着促進効果”はその後に続く樹木実生の発芽・定着に重要である.したがって,定着促進効果を明らかにすることは,火山荒原における遷移初期段階のプロセスを解明することにつながると考えられる.