明治以降の教育史における道徳教育の変遷を概観し、その特殊性と課題を指摘した。それに基づき、教職課程科目「道徳の指導法」授業を批判的に分析した。その意図および想定できる効果について考察した。分析の対象としたのは「宗教的内容の取り扱い」に関わる「道徳」授業である。「特別の教科道徳」学習指導要領との整合性をどう図っていくのか、を戦前戦後の教育史及び関連法規等を参照しながら考察した。「宗教的内容の取り扱い」の事例を使った授業がもたらす効果として、これまで、何気なく通り過ぎてきた授業内容や行事を、意識的にとらえるようになる、とわかった。