西洋教育史におけるチャニングの道徳教育観を明確化するために、彼が日曜学校の教師として用いた「カテキズム(教理問答)」を分析検討した。同書は、伝統的なキリスト教思想に基づいた、厳格な道徳観を基調としながらも、その教えを、現実世界における道徳として捉えている箇所を随所にもつ。ここに英国の道徳哲学とのつながりを確認できた。教育の方法という観点からは、子どもの発達段階に配慮して、平易な言葉遣いがなされていた。19世紀初頭の教育実践において、すでにこのような工夫がなされていたのは、西洋教育史上、重要な意味をもつ。