ヒキガエルは両生類の代表として,その発生の過程が高校『生物』の教科書や資料集で解説されている.しかし,産卵は春先のわずか数日に限られるため,受精卵が発生していく様子を授業中に観察させることは不可能に近い.実物を知らない生徒たちが,写真や模式図からカエルの発生を理解することは容易ではない.そこで本講演では,カエルの発生を立体的に理解するためのデジタル教材とアナログ教材の作成と活用法を紹介する.デジタル教材としてタブレット端末で観察できる胚の3Dモデル(コンピュータグラフィックス)を,アナログ教材として実物の胚や幼生を埋め込んだ樹脂標本を紹介する.3Dモデルを用いれば,胚の任意の断面を表示でき,アニメーション機能を使ってさまざまな方向から胚を観察できる.樹脂標本については,教科書に記載されている20段階の代表的な胚や幼生の標本を作製した.原腸胚や神経胚については内部構造を詳しく観察できる断面標本も作製した.「動物の発生」の単元は実際に見たことのないものを暗記しなくてはならない,などの理由で苦手意識をもつ生徒が多い.本講演で紹介するデジタル教材とアナログ教材を融合あるいは共存させた“デジアナ教材”が相乗的な効果を発揮すれば,「動物の発生」がさらに魅力的な単元になるに違いないだろう.