俳優教育は、演劇を志す者と、プロの現場で働く者、そして教育を実施する諸機関との間で常に変容しながら試⾏錯誤を繰り返す営みである。たとえ同⼀のトレーニングでも、それが⾏われる時代と環境によって俳優教育の⽂脈は⼤きく変容する。 師弟制度を基軸とした⽇本演劇の俳優修業にとって、近代以降に⻄欧から流⼊したActor Trainingをいかに受容するかは、現在に⾄るまで⼤きな課題として我々に残されている。とりわけ、個から個への技の伝達から、体系的な俳優教育カリキュラム構築へと移⾏する試みは、いまだ道半ばといって差し⽀えない。 今回は、国⽴の演劇研修所、劇団の研究所、そして演劇実践系⼤学でそれぞれ指導経験を持つパネリストと、諸機関で教育を受けた若き習得者をむかえ、俳優教育についてのクロストークを⾏う。具体的な指導の事例報告からはじめ、諸機関におけるカリキュラム構築とその変遷、さらに俳優教育における到達⽬標設定の難しさなどにも議論が発展するであろう。 以上を通して、俳優教育を研究対象として設定することの難しさに正⾯から向き合うシンポジウムである。 ※本シンポジウムは、令和4年度⽇本⼤学芸術学部学部⻑指定研究の助成を受けたものです。