『古今和歌集』と『枕草子』―〈命じられた記憶〉の制度と〈再配置〉―
中田幸司
本稿は、『古今和歌集』と『枕草子』を、ジャンルや影響関係としてではなく、平安宮廷内部で〈記憶〉が制度化され、管理・再生産される実践として連続的に捉え直す。勅撰集における選歌・配列・暗誦と、『枕草子』に描かれる回想と章段化の過程を通して、制度的要請のもとで形成される〈命じられた記憶〉と、反復可能な表現として共有される〈歌謡的記憶〉との交差、および〈再配置〉の様相を明らかにする。これにより、宮廷文学における記憶の制度的・文化的機能を再検討する契機を提示する。
『論叢』 玉川大学文学部紀要
第六十六号
72(19)
62(29)
0286-8903