1895年にフランスのリュミエール兄弟が発明した「シネマトグラフ」の登場によって、映画と
いう新たなメディアが誕生した。『工場の出口』(1895)を世界初の実写商業映画として、以降、ヨー
ロッパ、ロシア、アメリカと、大衆娯楽として発展していく中で、ジャン=リュック・ゴダール(1930―
2022)という映画監督の登場は、一種の革新として語られる。1970年代、ゴダールは自ら設立し
たアトリエ「ソニマージュ」1)
(1972―1979)において、ヴィデオ編集を基とした独自のモンタージュ
技法を確立し、時代区分ごとに映画表現において著しい変化を見せる。しかしその一方で興味深い
のは、彼のどの時代の作品を鑑賞しようとも、ゴダール作品に通底する一種の美学(編集様式に通
底する特徴)が見て取れるという点である。本研究では、ゴダールの編集技法の中でもとりわけ特
徴的な「並置」2)
の概念に焦点を当て、主に70年代のソニマージュで製作された作品と、90年代の『映
画史』からいくつかを引用し、彼の創作手法について分析を行う。その上で、複数の事柄を単純に
「並置」することで生じる「応答」と「結合」が、ゴダール作品の特徴の一つであることを確認する。