本論は、認知科学的観点から筆者の創作領域であるVisual Music型作品についての分析を実践を試みたものである。その上で、導き出された分析結果を、視聴覚に跨がるVisual Music型作品全般へと応用させる試みを行った。まず、人間の認知機能によって生み出された様々な要素が、再び組み合わさることで 生まれる全体の体制化、すなわちゲシュタルトの形成に至る一連の流れについて言及した。続いて、このゲシュタルトの変化が特徴に挙げられるような作品を例に挙げ、認知科学的観点に立った 作品解説を試みた。そして、それらの作品が、脳処理における錯誤的な機能を巧みに利用することで、効果 的に作品意図を助長していることを明言化できた。それらの検証を踏まえた上で、自身の修了作品「unseeable rigidness for Visual and Music」について 述べた。今作品は、映像と音楽を用いて、我々の中に存在する表象と対象認知的現象の間に存在するであろ う無意識的な「ずれ」を、意識下に与えることを目指して創作したが、その実現のため、脳の錯誤的機能を 利用した手法を中心に話を進めた。そして、認知科学的見地から、認知を主題とする創作をする場合、 VISUAL MUSIC型作品が、効果的に機能するという結論に至った。