生成 AI の普及に伴い,高等教育における AI 教育は,操作方法や即時的な活用スキルの習得 を中心とする実践へと拡大しつつある.しかし今後,エージェント型 AI やフィジカル AI を含 む自律的機能の拡張を踏まえると,「活用」に加えて,判断をどこまで AI に委ねるか(委任範 囲)を設計し,出力を確認・検証したうえで最終判断を人が引き受けるという協働プロセスを 学習内容として明確化する必要がある.そこで本研究は,学習者の AI に関する認識の焦点(自 由記述における言及テーマ)の推移と国際的教育動向を手がかりに,AI 活用教育(AI リテラシ ーを基盤とした実践的教育)における視座を整理することを目的とする.2022~2025 年に実施 した大学生の受講前アンケート(反復横断,n=1,813)の自由記述を辞書に基づくテーマ抽出 で分析した結果,利便性への期待に関する言及は高水準で推移する一方,懸念に関する言及は 雇用・仕事喪失といった社会構造レベルから,思考力低下・依存といった学習者自身の学びや 判断に関わる領域へ相対的に移りつつある可能性が示唆された.以上を踏まえ,本稿は UNESCO 等が重視する人間中心性とエージェンシー,および Human–AI Interaction(HAI)の知 見を参照し,委任範囲の明確化,出力の確認・検証,省察を通じた判断基準の更新を,授業実 践に翻訳する際の主要論点として整理し,検討の観点を提示する.