本論文は、タイ北部ナーン県のCommunity Based Tourism(CBT)の調査をもとに、地域におけるコミュニティ再生と持続可能な観光地域づくりにCBTは有効かどうかを研究した。
CBTは、地域のコミュニティが主体となり、観光開発・運営に関わり、観光からの経済的・社会的恩恵をコミュニティのメンバーに適正に分配すべきであるという観光開発の理念である。タイでは、地域における観光振興策としてCBTを重視し、 Designated Areas for Sustainable Tourism Administration(DASTA)によって地域への支援が行われている。
今回の研究では、DASTAのナーン事務所が支援するCBTと山岳エリアの少数民族のCBTを調査した。DASTAの支援するCBTは、地域主体の取り組みになっていないことが分かった。その一方で、山岳エリアのCBTは、ボトムアップ型の観光地域づくりが進められている。稼げる農業の創造と、自然環境の改善を目的に、コーヒーやお茶の栽培への注目が増し、地域内経済循環の構築、コミュニティ再生に貢献していることが分かった。
その結果、タイのCBTは、地域の魅力創造と観光客の誘致という側面で互換性が強く、持続可能な観光地の経営につなげていける可能性を示唆していることが分かった。