本発表は、日本における新規移民労働者の受け入れをめぐる問題について、政府、農業従事者をはじめとする雇用主、ならびに地域社会といった多様なステークホルダーの視点から検討する。日本ではこれまで、移民労働者の受け入れは、いわゆる「デカセギ」を名目とした制度(1990年以降の日系ブラジル人労働者)や、「研修」を建前とする技能実習制度(1993年以降、事実上の短期労働制度として広く認識されてきた)といった形で行われてきた。
しかしながら、近年導入された制度は、これらとは異なり、真に「フロントドア型」の短期労働受け入れ制度である。安倍元首相は、この制度が日本を移民国家へと転換させるものではないことを、強くかつ繰り返し強調してきた。では、こうした制度をステークホルダーはどのように受け止めているのだろうか。新たに流入する移民労働者に対して、どのような社会的包摂が想定されているのか、あるいはそもそも包摂は想定されていないのか。地域社会は、これらの労働者を望ましい存在として捉えているのか、それとも脅威として認識しているのか。また、その認識は労働受け入れ制度の運用にどの程度影響を与えているのだろうか。さらに、新制度は技能実習制度とどのように連動・調整されているのか。
本発表は、2019年から実施したフィールドワークに基づき、新制度の導入前から導入後に至る過程を追跡しつつ、これらの問いに答えることを目的とする。