本研究は、田中実の「第三項理論」を18世紀ドイツの哲学者カントの認識論を用いて整理・検討することを目的とした。第三項理論における「作品それ自体」という不可知的対象と「第三項の領域」の概念を、カントの「物自体」と「叡知界」の理論と対比して分析した。その結果、第三項理論は文学読解において主客の二項関係を超越する視点を提供し、読み手の主体性を育成する効果的な理論であることが明らかになった。また、カント哲学との接続により、第三項理論を哲学的基盤を持つ文学教育理論として位置づけることが可能となり、国語教育における「主体的・対話的で深い学び」の実現に寄与する新たな方法論を確立した。