ヤスパースの政治論――実存哲学から理性の政治哲学への転換か?
中山剛史
日本ヤスパース協会第39回大会
日本ヤスパース協会
東京(オンライン)
本講演では、ヤスパースの政治論がどのようなものであったのかを明らかにした。まず、ヤスパースと政治とのかかわりを明らかにしたうえで、『現代の精神的状況』・『責罪論』・『原子爆弾と人間の未来』の三つの著作を取り上げ、前期における貴族主義的な「実存」への訴えかけから、ナチス体験を契機として、次第に開かれた「理性」の政治哲学へと力点が移動していったことを浮き彫りにした。しかしながら、この力点の変化は、立場の「転換」とは言えず、後期における「理性」の担い手として個々の「実存」の決意があることを主張した。