Create GBM:学習者が地域を 3D 教材化する歴史×地理のプラットフォーム
玉川大学 教育学部 濵田 英毅
1 特 徴
第一級の史跡情報を重ねた3D地形を、当時の環境や土木技術等の条件をふまえつつ観察すれば、史跡は「暗記の対象」から「発見の対象」へと転換し、当時の人々の思いや価値観に迫る教材となる。Create GBMは、歴史と地理のかけ合わせから本質的な「立地を読む力」を育てる自律型探究プラットフォームであり、学習者が自ら興味・関心を広げ探究が深まるよう、学術面・技術面から支援する。3D地形上を歩いて当事者目線で地域を感じる、専門的なGISや3Dモデリングの知識を必要とせず自力で3D地形を創る(3D白地図エディター)、可視化データから人々の暮らしを想像する(海岸線タイムマシン)等の体験的な学びを往還しながら、学習者が地域の3D教材をオリジナルで創り、確かめたくなる──Agency時代の学びを実現する。
2 対 象
校種:小学校(4年生〜)/中学校(主対象)/高等学校/大学/教員研修
学年:小学校4年生〜大学・教員研修
教科:社会科(地理的分野・歴史的分野)/総合的な学習の時間/総合的な探究の時間/地理総合・歴史総合・地理探究・日本史探究
3 具体的な活用方法
当時の人々の生活条件を確認し、地形から地域の人々の思いや価値観を想像する学びは、知識ありきの学びを脱し「見方・考え方」の育成に寄与する。主対象は中学校社会科(地理的分野・歴史的分野)および総合的な学習の時間だが、創る行為に年齢の上限・下限はない。小学校4年生から大学・教員研修まで連続的に活用可能である。
【導入:教師の支援による「立地を読む力」の獲得】
例:教師は博多湾を題材に、第一級史跡の価値を学習者に発見させる。3D空間の都市モデルや3Dプリンターで出力された実物地形に基づき、国指定史跡・板付遺跡の人々がなぜ標高11〜12mの低台地を居住域に、東西の沖積地を水田に選んだかを考察する。高さが可視化された3Dモデルで高低差を確認すれば、そこが水利を確保しつつ安全が損なわれない、生活と生産の絶妙なバランスの地であると発見でき、国指定であることの価値が初めて分かる。大野城跡(国指定特別史跡)から博多湾を3D上で見渡せば、防衛上必要な場所であったことが体感的に把握できる。地形データがあるからこそ可能な、フィールドワーク的創造学習である。
4 教材開発の創意工夫
Create GBMは、Next.jsをベースに、地理院タイル(国土地理院)、基盤地図情報、赤色立体地図、OpenStreetMap、ERA5(大気再解析)、OSCAR(海面流速)等のオープンデータをAPIで呼び出し活用する自律型探究プラットフォームである。学習者向けの生成AIには、答えを直接出さず別角度からの回答で「気づき」を増やす設計を採用した。本プラットフォームの中核は、専門的なGISや3Dモデリングの知識を必要とせず、地形・水系・史跡・地図記号等のレイヤーを3Dプリント可能な教材モデルへ一気通貫で変換する「3D白地図エディター」(特許申請準備中)である。教科書上の歴史ではなく、国指定(特別)史跡として認められた「本物」の歴史情報の価値を、地形というデータを通して発見することを目的とする。歴史地理学習における本質的な力(その一部としての「見方・考え方」や「立地を読む力」)が獲得できれば、それは教科学習にとどまらない一生涯の力となる。