自発的ジェスチャー 早期失明者 ビート 発話時に自然発生的におこなわれ,それだけでは意味を特定することの出来ない「発話にともなう手振り(McNeill, 1987)」を,早期に失明した幼児や若者が晴眼者と同様におこなっていることを示した研究がある(Iverson &Goldin-Meadow, 1997).一方で,早期に失明した成人にはほとんど「発話にともなう手振り」が観察されない(佐々木, 1993)という報告もおこなわれている.そこで本研究では,早期に失明した成人6名を対象に,彼らが「問題解決」や「概念の説明」など9課題を口頭で解答する過程を撮ったビデオを分析した.その結果,晴眼者ほど明確ではないが,早期失明者にも「発話にともなう手振り」を見いだすことができた.晴眼者同様,手振り頻度には個人差が存在し,手振りの現れは課題の性質や手振りのリズムと関連していた.しかし,マクニールのカテゴリーの一つである「絵画的表現」がほとんど観察されず,手振りの形や動きは晴眼者と異なっていた.以上より,視覚経験がなくとも「発話にともなう手振り」は現れる.しかし,その発達は視覚経験によって大きく異なっていく可能性があることが示唆された。