本研究の目的は,小学校の教科「外国語」(以下「外国語科」)の導入期に生じていた可能性がある,「小学生時の校外英語学習経験の有無」による児童の情意要因,特に学習者エンゲージメントの「二極化」について,高校生を対象とした回顧的調査によって明らかにすることである。具体的には,小金丸(2025)が高校1年生405名を対象に実施した「小学校外国語科におけるエンゲージメントについての尺度」による調査結果,および自由記述のデータに,回答者の校外英語学習経験の有無に関する情報を加えて,新たに複数の量的分析を実施した1。さらに,この中から小学生時に校外英語学習経験が「あった」生徒1名と「なかった」生徒1名を抽出し,それぞれに対して小学校外国語科での学習経験に関する面接をPAC分析(Analysis of Personal Attitude Construct:個人別態度構造分析)の枠組みに基づいて実施した。これらの量的・質的調査の結果から,小学生時の校外英語学習経験の有無が,学習者エンゲージメントの高低に影響し,その結果として「二極化」が生じている可能性が示唆された。また,小学校外国語科の授業では,校外英語学習経験がない児童が教師の指示や活動内容を理解できずストレスを感じる恐れがあるため,十分な支援のもとで活動を行う必要があることなど,児童の学習者エンゲージメントを高めるための教育的示唆が得られた。